「電話しなよ! 帰りの電車まで、まだ少し時間あるから」 「うん……あっ! でもあたし、コウキさんの番号知らないんだ」 「カズくんのは!?」 「昨日データ消しちゃって…っ」 「マジで…!?」 舌打ちして顔をしかめるりみ。 焦るあたしたちとは裏腹に、バスはのんびりと走り続けている。 そのときだった。 「ねぇ、アズ……あそこ、何か書いてない?」 「え?」 窓越しの道路の下に、小さなビーチが見えた。 あそこは…… 昨日あたしがひとりで行った、あのビーチだ。