「そうですか……。どうもありがとうございました」 あたしたちはシュンとしながら、旅館をあとにした。 駅へ向かうため、バスに乗った。 冷房がよく効いた車内で、あたしたちは口数少なかった。 普段ならおしゃべりが止まらないふたりなのに……。 バスは海沿いの道をすいすい走る。 駅に着いたら、電車に乗り換えて。 その2時間後には、東京で。 数日後には、新学期が始まって。 日常生活の中、この夏の出来事は淡い思い出になる。 そして終わるんだ――