それに……コウキさんはこの旅館を継ぐ人。 東京の女子高生のあたしとは、立場も住んでる場所も遠すぎる。 だから、これでよかった。 きっと、よかったんだよ。 「本当に? アズ」 「……うん。行こ」 あたしたちは荷物をまとめて、チェックアウトした。 フロントに彼の姿は……ない。 「すみません。若旦那さんは、今日お休みですか?」 りみがいきなり、フロントの人にたずねた。 「ちょっ! りみ……」 「若旦那? あぁ、コウキさん。あいにく今日は遅番でして……」