どんより曇り空。
昨日までの晴天が夢だったみたいな、灰色の空。
今にも泣きだしそうな空――
「――って、それはあんたの心境でしょ」
りみがため息をついて言った。
「ほら、見てみなよ。全然晴れてんじゃん。ピーカンじゃん」
「うぅ、まぶしい」
勢いよくカーテンを開けると、あたしを責めるように射し込んでくる朝日。
今日は、ついに東京に帰る日。
空はムカつくくらいの晴天だ。
「……でもあたしの心は、今にも土砂降りだよ」
暗いあたしにりみはもう一度ため息を吐いて、ぽんと肩に手をのせる。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…