恐る恐る見ると、まだ窓の外を向いてタバコを吸ってるコウキさん。
よく見えない表情が、あたしの不安を煽る。
……違うの。
たしかに最初は、東条センパイへの当てつけで浮気してやるって考えてたけど。
コウキさんに出逢って。
コウキさんを好きになって。
そしたら最初のバカな考えなんて、吹っ飛んでた。
この気持ちは“ひと夏の浮気”なんかじゃないの。
でも、どうすれば言い訳にならずに伝わるのかわかんない――
グシャッ!と乱暴な仕草で、コウキさんがタバコを灰皿に押しつけた。
そして無言のままサイドブレーキを下ろす。



