「えっと、あのね、りみ――」 その話はあとで。 そう言おうとした、矢先だった。 『まぁ、別にいいんだけどね。 ひと夏の浮気相手を見つけようっていう考え自体、あたしはどうかと思ってたし』 「………」 自分の顔が青ざめるのがわかった。 『アズ? 急に黙りこんで、どうしたの?』 「ごめん、りみ……ちょっと切るね」 『アズっ?』 携帯を持つ右手を、力なく下ろすあたし。 ……聞こえた、よね? “ひと夏の浮気相手” となりにいるコウキさんに、聞こえたよね?