『――…それで、とりあえずあたしは旅館で待機しておくことになったんだけど。
コウキさんは、あんたを探しに行ったんだよ』
……そうだったの
コウキさん……。
あたしは携帯を耳にあてたまま、となりに視線を送る。
窓を開けてタバコを吸う彼の表情は、この角度からはよく見えない。
でもその存在だけで、あたしの胸がキューっとなった。
『ていうか、アズ。そもそもあんた、なんでカズくんとデート中断したわけ!?』
「えっ、……あ」
『せっかくみんなで協力して、いい感じになってたのに』
怒っているせいか、りみの声はいつになく大きい。



