「んでお前、なんでそんなトコにいんの?」 「……砂浜が海になっちゃったから、帰れなくて……」 「海っつっても浅いじゃん」 「浅くても何でも、あたしは怖いのっ。てか、早く助けてよ!」 するとコウキさんは、“しょーがねぁなぁ”って感じで鼻で笑って、階段を下りてきた。 潮が満ちたところに躊躇なく足をつけて、ジャブジャブと歩いてくるコウキさん。 水の深さは思った以上に浅い。 コウキさんの膝くらいだ。 「こんくらいの深さで、何が怖いんだよ」