「……ごめ…っ」 唇が触れる寸前で、横を向いたあたし。 そのとき。 カズくんの肩越しに、あたしはその光景を見た。 ……りみ。 と、コウキさん。 学校の前の道路を走り抜けていったのは、たしかにコウキさんの車で。 その助手席に乗っていたのは、たしかにりみだった。 「……アズちゃん?」 固まったあたしの顔を、カズくんがのぞきこんでくる。 「どうかした?」 何も答えられずにいると、カズくんは道路の方に視線を走らせた。