あのときと同じように手足をバタバタさせると、カズくんはやっと降ろしてくれた。 だけど至近距離であたしを向かい合わせ、腕をつかんでくる。 ……あ。 もしかして、この雰囲気…… 「カズく……」 スッと顔が近づいてきた。 唇が触れるまでの、ほんの数秒の間に、あたしの頭ん中でいろんな思考が飛び交った。 こんなステキな人との出逢いをムダにしちゃいけない、とか。 でもこれでいいの?とか。 いいに決まってるじゃん、とか。 でもあたしが好きなのは――、とか。