「あ、この小学校、母校なんだ」 学校の近くを通りかかったとき、カズくんが足を止めて言った。 「きれいな校舎だね。新しいっぽい」 「8年くらいかな。俺らが卒業した年に建て替えたから」 「“俺ら”って」 「コウキもここ出身」 「……そうなんだー」 カズくんはイタズラっこみたいな顔をすると、閉まった校門をよじ登って越えた。 「アズちゃんもおいで」 「えっえっ」 よじのぼるのは何とかできそうだけど、降りるのがちょっと怖そう。 そう思っていると。 「ちゃんと俺が受け止めるから」