「別に東京でも会えんじゃん。S大だし」 「……」 「まー本気で狙うんだったら、この旅行中にきめた方がいいんじゃね?」 「……なんで、そんなことコウキさんが気にしてくれるの?」 するとコウキさんは一瞬の間を置いて、唇のはしを持ち上げた。 「お客様サービス」 「……」 そっか。そうだよね。 コウキさんはあの旅館の後継ぎ。 あたしたちは3日間、泊まるだけのお客。