「……何? 食いてーの?」 右隣に座るコウキさんが、あたしの視線に気づいて言う。 たしかにあたしは彼の金時を、じーっと見つめてたんだ。 「うんっ。一口ちょーだい」 口を大きく開いてねだると、コウキさんは「ヒナ鳥かよ」とつぶやきながら、スプーン山盛りの金時を口に入れてくれた。 イチゴやメロンとは違う、素朴で、やさしい甘み。 「おいしいっ。初めて食べたぁ」 「マジで? 自分の名前とおんなじなのに」 「へ?」