「うなされてたよ、アズ。また東条センパイの夢みたの?」 「う、うん」 「もぉ~。いいかげん、忘れな。 せっかく気晴らしの旅行に来たんだからさ」 そう言ってりみは、「ほら」とあたしの後ろを指さした。 「……わぁ……っ」 あたしたちを乗せた電車の、窓の外に広がる風景。 ギンギラギンの太陽。 そして、コバルトブルーの―― 「海だぁぁ!!」 井川あずき、16歳。 彼氏の東条センパイに浮気されて、このたび傷心旅行に来ちゃいました。