「やだよ。今のあたし、ただでさえも不機嫌なのに」 「どうしたの?」 「さっきカレから電話あったでしょ。あいつね、明日も仕事入っちゃったんだって。デート、キャンセルされちゃった」 「……そうなんだ」 「じゃあ、今日帰る必要なくね?」 ぜんぶ丸聞こえだったらしい、さっきのイケメンが、後ろから割り込んできた。 ドキン。 意外な展開に、胸が高鳴る。 「え、でも、泊まるとこないし」 ちょっと迷ってるっぽいリミ。 「俺のイトコが働いてる旅館あるから、紹介するよ」 「うーん……」