「あー別に俺、そのうち旅館つぐ気だし。いちいち否定するまでもねーかなぁって」 「何よそれぇー……」 「つーか、遠距離が引っかかってたなら言えよ」 「だって! コウキさん、自分のこと何も話してくれないから」 カズくんのことは色々教えてくれたのに。 自分自身のことは、ちっとも教えてくれなかった。 「そんなのいちいち自分から言わねーべ。聞かれて答えるもんだろ」 「……じゃあ、教えてよ。コウキさんのこと」 訴えるように見上げると コウキさんはぶっきらぼうな表情で、また一歩あたしに近づいた。