「…コウキさ……」 また泣けてきたあたしは、手の甲で涙をぐしぐし拭う。 「どうして…東京にいるの?」 するとコウキさんは、シレッとした顔で頭をかいた。 「あー。やっぱお前、勘違いしてたか」 「へ?」 「俺、カズと同じS大生」 ……へ??? S…大生? え、じゃあ、てことは コウキさんも東京に住んでるの……? 「な……な……な……」 「“ななな”じゃねーよ。勝手に勘違いしといて」 「だって…っ、“若旦那”って言われても否定しなかったじゃんっ」