あたしには大切な人がいる。




彼もあたしを大切に思ってる…と思う。





でなければ二人出会った

意味がないから。



あたしたちは初めから

お互いを知りすぎてた。








でも、もしかしたら本当は、

知らなすぎたのかも知れない。











―あたしたちはお互いを

南京錠の片割れみたいに思ってた。





片方失くなれば

片方は意味をなさない。





閉じられたかぎは

うまく開くことはない。




針金で無理矢理開けても

傷がつくだけ。







見えないところに

細い傷がつくだけ。





だからあたしたちは

お互いを失いたくなかった。








いや、失っちゃいけなかったんだ。―