パトカーや救急車の
明かりで賑わう
工事現場を走り
回り息を切らしながら
大穴から這い上がった
安住野は、埋没品が並ぶ
ライトの中で掘り出された
壷に描かれた文字を
見ている五十代・長身の
男に駆け寄り荒い息を
整えながら状況
を報告した。

「榊さん‥鈴木さんを
穴の中で見つけました。
左肘から食い千切られ
重体ですが、
まだ生きています。
いま応急手当してから、
運び上げられて来ます」

榊はうなずきゆっくり
と救急車の後ろに向かい
救急隊員より傷の手当
を受けている監督に
近づき言葉をかけた。

「川島さん‥
鈴木さんの生存が
確認されました」

「生きて…た…
よかった」

青年の安否を心配して
いた川島は安堵の吐息を
吐くと涙を拭ぐった。

鈴木は担架で救急車に
運び込まれ板倉に付き
添われ病院に
搬送されて行った。

救急車を見送る
川島を促し榊は
鑑識員達が、出入り
する事務所に入り
改めて自己紹介をした。

「五倫・封気師の榊です。
鈴木さんに同行したのは
治癒の板倉・彼女には
鈴木さんの治療に
当たってもらいます。
結界の岩代・情報連絡に
安住野‥我々が妖魔を
封じます。まず
状況を教えてください」

川島は今までの事を語り

「そして‥鈴木君を
助けようとしたら
俺も外に引きずり出され
危ないところを
助けてもらい…
ありがとうございました」

恐怖に脅え震えが
止まらない
川島は言葉を続けた。