「お腹すいたぁ…
あれ…お客さん」

一太達と別れ空腹を抱え、
通学路の倍の距離を
自転車で走り帰宅した
洸はクタクタだった。

やっと辿り着いた
我が家の通用門を抜け広い
駐車場になっている
玄関前で、軽の車を見つけ
誰の車かとのん気に
眺めていると突然耳を
強く引っ張られた。

「あたたたっ…痛いよ。白蛇ぁ」

「のん気に板倉の車を覗き見
しおって、さっさと来い。
子供達が大変じゃ」

「えっ…チビ達が
どうしたの」

「榊達が追っていた
妖魔が子供達を襲っている。
絖守に連絡したが、駆けつける
まで時間が掛かるそうじゃ。
お前が妖魔退治をやれ」

「やれって…」

「弾気の練習はして
おろう。今日が実践じゃ、
頑張れ。妾は先に行き
時を稼ぐ早う来い。
嵐鬼あとは頼む」

白蛇の呼びかけに、
バサリと何かが音を立て
屋敷屋根から降りてきた。


薄水色の肌に濃紺の髪を
持つ人型の妖魔が
ふたりの前に降り立った。

洸の父・絖守の守護妖魔
である嵐鬼だった。

洸は心構えもない内に
嵐鬼に抱かかえられ来た
道を空から戻る事となった。