出会い・白輝伝


「一太、二太」楓に名前を
呼ばれ両耳をピクッと
動かし虚から顔出すふたり
に楓は白蛇を伴い近づく。

「一太‥もはやこの地は
危険じゃ。今すぐ二太と
赤子を連れこの者達と
行くがよい。今までお前達
と楽しく暮らしたが、
これからはこの者達が
お前達を守り育ててくれる。
食べ物にも困らぬ…きっと
赤子も無事に育つだろう。
さっ‥急ぎ行くがよい。
これからはこの白蛇の言う
事を聞いてよい子でな。」

楓の袴のすそを引き
二太が尋ねた。

「じぃじは‥行かないの」

「儂か‥儂は行かぬ」

「しばし時が掛かるが、屋敷
に移動するゆえ。少しの辛抱じゃ。
ささ‥参るぞ。ここを
抜ければ屋敷じゃ」

地面スレスレに直系1メーター
程の移動空間を開き子供達の
機嫌を取り移動させよう
とする白蛇。

「行こうよ。これより
美味しいものあるし、仲間も
たくさんいるから‥ね」

洸もぐずり始めた二太の
手を引き移動空間へ誘う。

「じいじはどうするの。
じいじが、一緒でないと嫌だ。」

楓の手を取り一太が移動空間を
指さす。その手を優しく解き楓は
一太の汚れゴワ付いた髪の毛を
優しく撫でゆっくり
諭す様に話す。