出会い・白輝伝

じいじと白蛇の話は
難しくて判らない
一太達は側に立ち愛想を
振う洸を見ていた。

一太は耳もしっぽも無くて
可哀想にと思い。人を
こんなに近くで見たのは
始めての二太は、洸を
不思議そうに見上げていた。

洸が危険な人間ではない
と判った子供達は洸が
側にいても気にせず住まい
である老木の虚の中に入り
寝床代わりの枯れ草を
整え始めた。

好奇心で虚の中を覗く
洸に二太が何かを言った。

聞き取れなかった洸は
かがみ込み虚の中に
顔を突っ込む。

「これ妹・兄ちゃと二太の妹」

薄汚れた白い着物らしい布の
一部をめくると中には
テニスボール程の大きさの
銀色の小狐が丸くなり
眠っていた。

「うわぁ‥小さい」

小狐に驚く洸に二太が
再び説明をしてくれる。

「妹ね。食べるもん無い
から大きくなん無いの」

「食べるもの‥そうだ
これ食べるかい」

洸は手に下げた袋の中より
厚揚げを小さく千切り差し
出す二太は少し鼻をヒク
つかせ少しかじり二口目は
口一杯にかぶりついた。

おいしそうにパクつく二太
を見ている一太の口元にも
厚揚げを差し出す。

最初は少し体を引いた一太
だが、美味しそうな匂いに
釣られひとかじり後は、
差し出されるままに
ふたりしてほお張る。