出会い・白輝伝

侵入者に驚き脅え泣き
止まない弟をなだめる
兄の声が、泣き声に
重なり聞こえる。

やがて泣き声が小さな
しゃくりに変わり虫の
音が聞こえはじめた。

「あの‥」

重苦しい沈黙を破り
洸が事情を説明しょう
と口を切った時、
白蛇の怒声が響く。

「この馬鹿者ども」

何事と振り向いた洸が
見たものは、移動空間
に妖魔を押し込む
白蛇だった。

「洸そちらに二匹いった。
捕まえてくれまったく
油断も隙きも無い
とはこの事じゃ」

白蛇はトカゲに羽が
生えた小妖魔を押し
込み移動空間の入り口
を手の平で撫でる空間
が大きく波打ちそして
消えた。移動空間から
飛び出した妖魔達は
真っすぐ洸の後ろに
隠れ怒り狂う白蛇から
身を隠した。

小さく身を縮める妖魔
と怒りで顔を歪める
白蛇を交互に眺め
ヒソヒソ声で足元の
妖魔に尋ねる。

「白蛇が怒っているけど
何か悪いことしたのか」

妖魔達は首を左右に振り
否定の態度を示した。

「ちょっと目を離し
出掛ければ、家人がおらぬ
屋敷に入り込み悪さを
しよる。霞が準備した
そなたの夕餉の
おかず食われたぞよ」