出会い・白輝伝


「はぐじゃ~いだいよ~」
三百年以上生きている
この妖魔に幼い頃から
いじめ続けられオレは
不幸だと何度
叫んだだろう。

グイグイ洸を攻める
白蛇の攻撃が
突然止まる。

その隙に手が
届かない場所まで
避難・白蛇のバカと
呟き痛む両頬を
摩り少女を見上げる。

蛇眼を細め少女は
洸の背後を凝視した。

白蛇の視線の先には
歴史の教科書で
見た平安時代の衣装
を着た老人が
立っていた。

白蛇が仕掛けた
バカ騒ぎに油断した
洸は、新たな気の出現
に気付かなかった。

「あの」

近寄る洸を身振りで
押し止めた老人は、
しわがれ声で告げる。

「そこの者・比処より
早々に立ち去れ、
二度と近寄るでないぞ」

「妾を呼んだの
はこれかい」

いつの間にか白蛇が
、移動空間より抜け
出し洸の脇に立ち
老人と向き合う。

「我らは人と交わらぬ。
早々に去れ」

再び警告を告げ
老人の姿がゆらりと
揺れ消えた。

「待ってください」

洸は慌てて老人の
消えた場所へ駆け
寄ろうとしたが、
白蛇に襟首を掴まれ
引き戻された。

「何すんだよ」

「それはこちらの
言葉じゃ。よもや
絖守との約束忘れ
てはおらぬな」

「忘れてない」

「まことじゃな」

「本当だってば」