出会い・白輝伝

今年担任になり
家庭訪問に宮継家を
訪れた森川は、洸の
霊能力が血筋者だけ
に伝わる力と
知り称賛する。

そんな森川に向かい
封気師である
父・宮継絖守
(みやつぐこうしゅ)
は、居間に飾った妻の
遺影を見つめると、
寂しげにほほ笑み
言った。

「こんな力はないほう
が、幸せですよ」

その笑顔を森川は
忘れる事が、
出来き無かった

「‥先生‥森川先生」

週番の一人が目の前で
手をヒラヒラさせ怪訝
そうに森川を見る。

「すまん‥ぼんやり
していた」

慌てて日誌を受け
取る森川の動揺を
勘違いした女子が
茶目っけを出して
からかう。
「先生~彼女の事考え
ていたんでしょう」

「いないよ。いま
募集中、もし‥いい人が
いたら紹介してくれ」

「でも先生の安月給じゃ
彼女は無理かもね」

「言っていろ。教室の
掃除は終わったか」

「はい、終わりました‥
けど先生・最近男子達・
掃除中にふざけて
ばかりで困ります。
それに今日は宮継君が
掃除をさぼって
帰っちゃった」

不満をぶっける週番に
そんなに怒るなと
笑い掛け日誌に確認のサ
インを書き込み出席簿と
一緒に雑然と重ねてある
教材の上に置き
壁の時計を見た。