柊斗は嫌な予感がしていた。合宿一日目の夕方から美波からの連絡がないからだった。美波はどんなに忙しくても必ず三時間に一度はメールか電話があるからだ。三日も連絡がないのだ。何かあったとしか言いようがない。あのキスがバレたのか―。いやそんなはずはない。雫も俺も酔ってただけで気持ちがある訳じゃないし、誰かに見られてたのか。それもないはずだ。通学路にない駅だ。バレるはずがない。こんなことを考えるのはもう止めよう。バスケに集中できない。あとで美波に電話しよう。そうだ、それでいい。

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「よーし、今日はこれで終めぇだ。19時から焼き肉だ。ガンガン食って試合に備えろよー。」益田コーチはそう言うとそそくさと体育館を出ていった。
「柊斗、温泉早く行ってマッサージ行くぞい。」廉だ。
「おー分かった。」
マッサージのあとに電話すればいいか。


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「さっぱりした〜温泉ちゃんはやっぱ最高。」廉だ。
「今年は冬休みから異常な練習試合だよな。」柊斗が呟いた。
「そらそーだべ。なんてったって俺たち二人が入部してから負けなしでインターハイ三連覇がかかってるからな。」
「コーチも気合い入ってるもんな。」
「一二年も育てなきゃだし。柊斗がPGになったから機動力下がるからな。」
「SGの長谷部が3Pの確率上がれば違ってくるんだがな。」
「気にしても仕方ねえよい。」
「お前が言い出しっぺだろーが。」
「気にするない、まあ負けはしねえよ。お前がいればな。話変わるけどよ、美波ちゃんからラブコールラブメールはどした。」
「ねぇ。」
「全く?」
「ねぇ。」
「真面目に?」
「ねぇ。」