やっぱり美波にあれがバレたのだろうか。こんなに連絡がないのは逆に怖い。それともこの音信不通は俺への罰なのだろうか。自責の念と焦燥感を胸にバスケをできないように仕向けてるのか。なら大成功だ。今日の俺の不調っぷりは過去最悪だ。これではいくら練習試合とはいえ、負ける。明日勝てば記念すべき200連勝。負けるわけにはいかない。でも美波は…
「おいってば。」廉だった。
「な、何だよ急に。驚くだろーが。」
「おめぇ今、美波ちゃんのこと考えてたべ。そうだろ?」にやにやしながら廉が言った。
「電話もメールもさ、ないんだよなあ。」柊斗の声には哀愁が漂っていた。
「なら柊斗がかけりゃいいだろ?」
「今さらかけづらい。」
「かーっ、どんなプライドだよそれ。」
「今までを壊したくないんだよ、ただ単純に。」
「俺にはわかんねーな、何がただ単純に、だ。カッコつけるのはバスケだけにしろってーの。」ピピピピピピ。マッサージ機が突如終わりを報せてきた。俺をマッサージしたくはねぇってわけかよ。
「廉、俺…電話、してくるから、あと、頼む。」
「まっかしとけー色恋兄さん。」そう言うと廉はipodを取り出し、イヤホンを耳につけた。指でリズムをとっている。
あいつ、ipodどこから出したんだ。
ただ単純にそんな疑問が浮かんだが聞くのはやめた。今は美波だ。正直に話すしかない。きっと解ってくれる、はず。柊斗は電話をかけた。
プルルルルルルルル。
プルルルルルルルル。
プルルルルルルルル。
プルルルルルルルル。
出ない。やっぱりバレたんだ。俺を避けてる。
諦めかけたそのときだった、
「ごめん柊斗、お待たせ。」