ザァー ザァー


あの頃と同じような
大雨が降る梅雨の季節
がやってきた



私は1人教室に残り
窓から見える大粒の
雨を眺めていた



「ひぇ~超大雨なんだ
けど!!」


部活終わりに濡れた髪
をタオルで拭きながら
教室に入ってきた 知。


「あれ?そんなとこで
1人で何してんの?
雨降ってきたし早く
帰った方がいいよ!」


「えっ?あっうん…」


家に帰っても1人な
私は少しの時間でも
みんなと過ごせるこの
場所でいるのが楽しみ
だった。



「知は?今から
帰るの?」


知はバスケの部活を
やっていていつも夜
8時頃まで夜行練習
している



「そーだね。今日は
こんな雨だしグランドが
使えなくなっちゃった
からなぁ~」


「だよねー。すごい
濡れちゃったねー
風ひかないように
しなよー?」



「これくらいで風邪ひく
ほどやわな体じゃ
ないよっ!ハハッ」


「ハハッ!そっかぁ!」


いつも元気でスポーツ
万能で思いやりがある
知はクラスの人気者で
私も大好きだ


「あっ!この後ちょっと
だけクラブの子達と
ミーティングがあるんだ!
一緒に来る?」


「えっいーよいーよ。
私は雨が収まったら
帰るつもりだった
から!仲間達でミーティング
してきなよぉー」


「うん!分かった!
気をつけて帰りなよ
バイバーイ!」


タオルを頭にバサッと
被せながら笑顔で教室
を出ていった



外はまだ大粒の雨が
降っていた

窓を開けると生暖かい
初夏の風が吹いていた


そろそろ帰ろっかなっ



傘をさして家路に
向う


その途中には周と
出会ったあの
土手道がある



たったまだ2ヶ月
なのにこの場所が
懐かしいー…


この場所で彼との
出会いがなかったら
今の私はここにいない


土手道で足を止め辺り
を見渡した


キレイな川が流れて
いて樹々達が風で
揺れている

川 水 木 草……


私もこの一部だった


人間の姿になって
こういう景色を見る
のって不思議だなぁー


また違った感覚


私は家へとまた歩き
始めた