「しかも男にね。どうだった?」

笑いを含んだ藍の声が届く。
与一はちょっと身体を反らして、背中を藍に少しだけ触れさせた。

「・・・・・・気持ち悪かったです」

藍の背中が震える。
笑っているのだ。

「笑い事じゃないですよ。俺がうっかり、そっちの世界に目覚めてしまったら、どうするんです」

与一は食べ終わったどんぶりを横に置くと、少し身体を捻って、ちらりと藍を見た。

「そうね。それは困るわ。ただでさえ、よいっちゃんは魅力的なのに」

藍が、ちょっと上を向くようにして、笠の奥から与一を見つめる。