与一は前を向いたまま、頼んでおいた稲荷寿司の包みを、つい、と後ろへ滑らした。
「うふっ。ありがとう~」
小さく言い、後ろに座った藍が嬉しそうに稲荷の包みを開く。
よくもまぁ、飽きないものだと思いながら、与一はちらりと背後を見た。
藍はどこで調達したのか、笠を深く被っている。
「随分気に入られたみたいねぇ。よいっちゃんの勘が鈍らないか、ちょっと心配だったのよ~」
笠の奥で、むしゃむしゃと稲荷寿司を頬張りながら、周りに聞こえない程度の小声で、藍が言う。
「今まで知らない人種でしょ。勝手が違うんじゃない?」
「確かに何から何まで、勝手は違いますね。依頼からして、普通じゃないじゃないですか。色仕掛けなんて、初めてですよ」
「うふっ。ありがとう~」
小さく言い、後ろに座った藍が嬉しそうに稲荷の包みを開く。
よくもまぁ、飽きないものだと思いながら、与一はちらりと背後を見た。
藍はどこで調達したのか、笠を深く被っている。
「随分気に入られたみたいねぇ。よいっちゃんの勘が鈍らないか、ちょっと心配だったのよ~」
笠の奥で、むしゃむしゃと稲荷寿司を頬張りながら、周りに聞こえない程度の小声で、藍が言う。
「今まで知らない人種でしょ。勝手が違うんじゃない?」
「確かに何から何まで、勝手は違いますね。依頼からして、普通じゃないじゃないですか。色仕掛けなんて、初めてですよ」


