驚いた与一に、辰巳は口角を上げ、傍に散らばる板きれを示す。
「冗談冗談。鼻緒の強さを調べたのさ。さ、木は何にするね?」
辰巳がやっと足を放したのを幸い、与一は素早く足を引っ込めた。
「桐にする。鼻緒は・・・・・・そうだな・・・・・・」
店内をぐるりと見渡し、与一は鼻緒の柄を選ぶ。
さりげなく店の奥にいる主人のほうへ移動しながら、鼻緒を見ていると、不意に首筋に息がかかった。
「兄さん。若いんだから、こういう大胆なのにしなよ」
いつの間にか、すぐ後ろに立った辰巳が、与一の肩に顎を乗せんばかりに近づいて、藍染めに金糸をふんだんに使った鼻緒を勧めていた。
驚きのあまり振り向いていたら、危うく口が当たるところだった。
「あうぅ・・・・・・。あの、それはちょっと。もっと素朴なやつで・・・・・・」
全身を襲う寒気に、気が遠くなりながらも、与一は懸命に平静を装った。
「冗談冗談。鼻緒の強さを調べたのさ。さ、木は何にするね?」
辰巳がやっと足を放したのを幸い、与一は素早く足を引っ込めた。
「桐にする。鼻緒は・・・・・・そうだな・・・・・・」
店内をぐるりと見渡し、与一は鼻緒の柄を選ぶ。
さりげなく店の奥にいる主人のほうへ移動しながら、鼻緒を見ていると、不意に首筋に息がかかった。
「兄さん。若いんだから、こういう大胆なのにしなよ」
いつの間にか、すぐ後ろに立った辰巳が、与一の肩に顎を乗せんばかりに近づいて、藍染めに金糸をふんだんに使った鼻緒を勧めていた。
驚きのあまり振り向いていたら、危うく口が当たるところだった。
「あうぅ・・・・・・。あの、それはちょっと。もっと素朴なやつで・・・・・・」
全身を襲う寒気に、気が遠くなりながらも、与一は懸命に平静を装った。


