「そうかい? 良い足ってのがよくわからんが、とりあえず今日は、新しい下駄でも買おうかと思って来たんだ。腕利きのあんたに、作ってもらおうかね」

声が震えないように注意しながら、与一は足を踏ん張った。

「それは嬉しい。それじゃあちょっと、下駄を脱いでおくれ」

足を包んでいた手が離れたので、与一は、ほっと息をつき、下駄を脱いで足を引っ込めようとした。
が、素早く辰巳に足首を掴まれる。

「用があるのは、下駄じゃなくて、足のほうさ」

にやりと笑い、辰巳は与一の足首を掴んだまま、店の坊主に簡単な椅子になる台を持ってこさせた。

「さ、そこに座って」

自分の向かい側に台を置かせ、与一に座るように勧める。