「思わぬ情報を得たわねぇ、よいっちゃん」

振り向くと、稲荷寿司の包みを二つ抱えた藍が立っていた。
藍は先程まで三郎太が座っていた与一の隣に座ると、いそいそと包みを開け、与一に差し出した。

「はい。あーん」

与一は一瞬、胡乱な目を藍に向けたが、素直に口を開けた。
どうせこういうことを面白がってやるのも、初めだけなのだから。

藍はにこりと笑って、つまんだ稲荷寿司を一つ、与一の口に放り込む。

「・・・・・・遅かったですね」

あっという間に口の中の稲荷寿司を飲み下した与一は、藍から稲荷の包みを一つ受け取りながら言った。