「でもお前は、やばいかもな。寺に入れられてたら、間違いなく坊主全員にやられてたぜ」

三郎太の言葉に、与一が震え上がる。

「お前はとびきりの美男子ではないが、それなりに整ってるし、何より目を惹く」

「目を惹く? 俺が?」

藍ならともかく、己が人の目を惹くとは思えない。

「何と言うのかな。普通にすれ違っただけじゃわからないだろうが、一旦存在に気づくと、惹きつけられるというか。魅力的なんだよ、お前は」

言っているうちに、恥ずかしくなってきたのか、三郎太はしきりに頭を掻いた。

「誤解すんなよ。俺は辰巳みたいな趣味はないぜ。ただお前は、そういうこと以前に全ての人を惹きつける魅力があるってことだよ。お三津もお松も、お前を好いてたろ。俺だって、だからこそ十年以上経ってても、お前がわかったんだぜ」