「へへ。なかなかいい趣味だろ? あそこの下駄屋は評判もいいし、大店のお嬢さんへの贈り物にも、恥ずかしくねぇよ」
与一は下駄を手に取って、しげしげと眺めた。
繊細な曲線。
隅々まで完璧な、まさに職人の技だ。
「へぇ。大したもんだな。これ、あそこの職人が作ったのかい?」
「ああ。中でも一番の腕利き、辰巳に頼んだんだ。さすがに素晴らしい出来だろ?」
与一の目が光った。
「辰巳って、そんなに凄い職人なのか?」
「そりゃ、あの店があれほど流行っているのは、もっぱら辰巳のおかげだっていうぐらいだぜ。他の職人は、皆出入りの職人だが、辰巳だけは住み込みの店付きだしな。何でも、公私とも、あそこの旦那にゃ好かれてるって噂だ」
与一は下駄を手に取って、しげしげと眺めた。
繊細な曲線。
隅々まで完璧な、まさに職人の技だ。
「へぇ。大したもんだな。これ、あそこの職人が作ったのかい?」
「ああ。中でも一番の腕利き、辰巳に頼んだんだ。さすがに素晴らしい出来だろ?」
与一の目が光った。
「辰巳って、そんなに凄い職人なのか?」
「そりゃ、あの店があれほど流行っているのは、もっぱら辰巳のおかげだっていうぐらいだぜ。他の職人は、皆出入りの職人だが、辰巳だけは住み込みの店付きだしな。何でも、公私とも、あそこの旦那にゃ好かれてるって噂だ」


