与一は、どこぞの山間の、小さな村で生まれた。
彼が五つのとき流行った疫病で、村民ほぼ全員が死に絶えた。

生き残った数名の大人は、それぞれ己の食い扶持のため、人買いに全ての子供を引き渡した。

男は与一と、彼よりいくつか年上の三郎太。
あとは幾人かの女子(おなご)たちが、人買いと共に山を下り、何日かの旅の果てに、京処(みやこ)と呼ばれる人がたくさんいるところに連れて行かれた。

三郎太は、京処の中で大きな屋敷に引き渡され、人買いはその後、女子(おなご)たちを京処から少し離れた、小さな町に連れて行った。