与一は腕組みをして、考え込んだ。

信じられない。
願いを叶える珠など、まるで如意宝珠ではないか。

が、藍の言うことも、もっともだ。

「ま、御珠が何であれ、あたしたちには関係ないわよ。あたしたちには、願いの叶う珠なんて、必要ない」

軽く言う藍に、与一は顔を上げた。
藍の視線とぶつかる。

「それとも、よいっちゃんは、何か叶えたい願いでもあるの?」

藍の言葉に、与一は考える。

願い・・・・・・。
何か、あるだろうか?

「もしかして、お三津とかいう人と一緒になりたいとか、言うんじゃないでしょうねぇ」

藍が、ぐいっと身体を近づけて、間近から見上げてくる。
吸い込まれそうな、漆黒の瞳。