「ほら、これでいいでしょ。でもその代わり、何かあったら、よいっちゃんが守ってよ」

「どうせ脇差しぐらい、どっかに仕込んでいるのでしょう」

「もーっ! 失礼ねぇ! この細い身体の、どこにそんなもの、忍ばせられると言うのよ!」

がばっと起き上がり、藍は駄々っ子のように、正座した膝を叩いた。

やることなすこと、すべてが非常に可愛いのだが、この天女は、死に神なのだ。
凄腕の殺し屋であるこの天女が丸腰になることなど、ありはしない。

胡乱な目で見つめる与一に、藍はやがて、ぺろりと舌を出し、枕の横にSAAを置くと、与一に抱きついた。

「えへ。脇差しは仕込んでないけど、ま、後はいいじゃない。ほら、くっついても、怪我しないでしょう?」

「・・・・・・怖くて寝返り、うてませんね」

藍に抱きつかれたまま、与一は両手を頭の下で組んで、ため息をついた。

何を隠そう、この美少女・藍は、与一の師匠なのだ。