「あ! そうそう。依頼内容は、きちんと覚えなきゃ。今回も、さっさと辰巳を殺しちゃったら、御珠の在処(ありか)がわからなくなるじゃない」

「店の主人に頼まれて、いろんな輩に狙われてまで守ってるようなもんなら、肌身離さず持ってんじゃないですか? 殺してからひん剥けば、わかることです」

「それで持ってなかったら、どうするのよ。死人に口なしよ」

「それもそうですね」

何せ今回のようなややこしい依頼は、初めてなのだ。
いつもは的のみ、手紙に書いてあるものだ。

「とにかく、依頼書はきちんと読むこと。わかったわね?」

「わかりました」

与一が素直に頷き、二人はしばらく下駄屋を眺めた。