「つまり、失せ物探しが、本来の目的よね」

「お門違いじゃないですか。俺たちは、殺し専門ですよ」

平らげた膳に箸を置き、与一は興味を失ったように言う。
藍は稲荷寿司にかぶりつき、少し考えてから口を開いた。

「ほんとに失せ物探しならね。でも、今回のは、失せ物を探して奪う過程で、横槍が入る可能性が高いってことでしょ。それも相当の。下手したら、命を狙われる羽目になるかもっていうことのようじゃない」

「要するに、失せ物を狙う輩を消せってことですか」

「そういうことね」

なるほどね、と、与一は白湯の茶碗に手を伸ばした。
茶碗の底に、小さい花の蕾が沈んでいる。