「あんな男が、信頼されているのかしら」
与一と路地に入った藍が、後ろを振り返りながら言った。
背後には、先の簪屋の向かいの下駄屋がある。
藍が言ったのは、その下駄屋の職人のことである。
「よいっちゃんは、どう思う?」
壁にもたれかかり、藍が与一を見上げる。
懐手の与一は路地の向こうに視線を投げながら、ぽつりと言った。
「・・・・・・腹ぁ減りましたね」
与一の視線の先には、美味しそうな湯気をほくほく立てている飯屋がある。
藍は、ざっと周囲を見渡し、飯屋と元来たほうを確かめると、しょうがないわねぇ、と言いながら、飯屋に向かった。
飯屋の暖簾をくぐると、良い匂いが一段ときつくなる。
店の中は、昼時を過ぎているにも関わらず、かなりの混雑だ。
「おじさぁん」
藍が、前掛けをして忙しそうに立ち働いている初老の男に声をかけた。
「空いてるかしら?」
いつものように、小首を傾げる藍に、初老の男は、一瞬目を見張った後、弾かれたように店の中を見渡した。
与一と路地に入った藍が、後ろを振り返りながら言った。
背後には、先の簪屋の向かいの下駄屋がある。
藍が言ったのは、その下駄屋の職人のことである。
「よいっちゃんは、どう思う?」
壁にもたれかかり、藍が与一を見上げる。
懐手の与一は路地の向こうに視線を投げながら、ぽつりと言った。
「・・・・・・腹ぁ減りましたね」
与一の視線の先には、美味しそうな湯気をほくほく立てている飯屋がある。
藍は、ざっと周囲を見渡し、飯屋と元来たほうを確かめると、しょうがないわねぇ、と言いながら、飯屋に向かった。
飯屋の暖簾をくぐると、良い匂いが一段ときつくなる。
店の中は、昼時を過ぎているにも関わらず、かなりの混雑だ。
「おじさぁん」
藍が、前掛けをして忙しそうに立ち働いている初老の男に声をかけた。
「空いてるかしら?」
いつものように、小首を傾げる藍に、初老の男は、一瞬目を見張った後、弾かれたように店の中を見渡した。


