「何の、お嬢様ほどのおかたなら、多少飾りが少なくとも、十分に栄えますよ。でもやはり、このままのほうが、お似合いですが」

飾りを少なくすることによって、値段が安くなってしまうのを防ぎたい主人は、もみ手をしながらおべんちゃらを言う。
全てが値段のためのおべんちゃらというわけではないだろうが。

「少なくした飾りの分は、その美しさで、十分埋め合わせられます」

さらりと言い、与一は主人に金を払って外に出た。

「あ、じゃあそれ、言ったとおりにお願いね。また取りに来るわ。よいっちゃあん、待ってよぅ」

藍が慌てて与一の後を追う。

奇妙な二人連れだろう。
どう見ても年上の男のほうが敬語を使い、どこかのお嬢様と側仕えかと思えば、今のように、男は少女を置き去りに、さっさと外へ出てしまう。

主人は首を捻りながら、店の奥に去った。