「そうねぇ」

言いながら、藍が簪を挿した頭をぶんぶんと振る。
銀細工の藤が、動きに合わせてしゃらしゃらと鳴った。

「確かにちょっと、重いかな?」

髪から簪を抜き、再び手に持って感触を確かめる。
横から与一が簪を取り、藍の髪に合わせながら言った。

「長さをもうちょっと短くして、飾り自体を、半分・・・・・・では少なすぎるか。このぐらいにしてもらいましょう」

与一は藤の飾りの束の三分の一ほどをつまんで、指示を出す。

目は鏡の中に映り込んでいる、向かいの職人を捕らえたままだ。

「そんなに少なくしないと、似合わないなんて~。ちびっこいのが、恨めしいわ」

主人に簪を渡しながら、藍がため息をつく。
そして何気ない風を装って、藍も向かいに視線を投げた。