「おそらくお前さんがいた寺の、関係者じゃろうな。寺が衰退してきたので、お前さんの中の陽の気を利用しようとしたのか・・・・・・。団三郎狸がおれば、それなりに何とかなろうから、団三郎狸を知る誰かじゃろう。でも、大丈夫じゃよ。そのような輩、大した力は、ありはせぬ。そのうち、お前さんの中の陽の気も、薄まろう」
辰巳のいるところ、人が集まるなら、参拝者や檀家を増やすには、良いかもしれない。
「じゃあ、う~んと、あたしはどうしようかしら。依頼が残ってるんだけど。でもやっぱり、たまを返しても仕方ないでしょ。お福さんが、離縁して北御所に行くってなるのは、良いんだけど」
早く与一を何とかしたい藍は、早口に考えを巡らせる。
たまが、辰巳の膝の上で顔を上げ、空に向かってにゃあぁ、と鋭く鳴いた。
すると、さっと土手の上から、何匹かの猫が走り寄ってきた。
猫たちは、たまの近くで何事か唸ると、すぐにまた駆け去っていく。
「北に、使いを走らせた。すぐに下駄屋の件、あとお琴の元にも連絡が行く。お主は、今すぐお琴に首尾を報告するがよい。『御珠はお福に渡り、お福の希望通り、斎宮に入る』とな。依頼主であるお琴が、お福の妹じゃということは、仕事をする上で、わかることじゃろ? そうすれば、おのずとお琴の目的も、わかろうというもの。もしお琴がそれでも御珠を欲しがれば、あとは直接姉に頼めばいいことじゃ」
藍はちょっと考えて、懐を探りつつ頷いた。
「そうね。それしか、言いようもないわね。殺していいのは、一応辰巳だけだったし。風弥と違って、明らかに敵対したわけでもないお福さんを殺す理由もないしね」
辰巳のいるところ、人が集まるなら、参拝者や檀家を増やすには、良いかもしれない。
「じゃあ、う~んと、あたしはどうしようかしら。依頼が残ってるんだけど。でもやっぱり、たまを返しても仕方ないでしょ。お福さんが、離縁して北御所に行くってなるのは、良いんだけど」
早く与一を何とかしたい藍は、早口に考えを巡らせる。
たまが、辰巳の膝の上で顔を上げ、空に向かってにゃあぁ、と鋭く鳴いた。
すると、さっと土手の上から、何匹かの猫が走り寄ってきた。
猫たちは、たまの近くで何事か唸ると、すぐにまた駆け去っていく。
「北に、使いを走らせた。すぐに下駄屋の件、あとお琴の元にも連絡が行く。お主は、今すぐお琴に首尾を報告するがよい。『御珠はお福に渡り、お福の希望通り、斎宮に入る』とな。依頼主であるお琴が、お福の妹じゃということは、仕事をする上で、わかることじゃろ? そうすれば、おのずとお琴の目的も、わかろうというもの。もしお琴がそれでも御珠を欲しがれば、あとは直接姉に頼めばいいことじゃ」
藍はちょっと考えて、懐を探りつつ頷いた。
「そうね。それしか、言いようもないわね。殺していいのは、一応辰巳だけだったし。風弥と違って、明らかに敵対したわけでもないお福さんを殺す理由もないしね」


