「だから、それでも有名な辰巳がいないことに気づけば、そのうち辰巳も捕らえられるでしょ?」
「かもなぁ」
のんびりした風弥の受け答えに、辰巳が固まる。
風弥にしてみれば、元々御珠の在処さえ吐かせれば、その後辰巳が捕らえられようと、どうでも良かったのだろう。
「全く・・・・・・」
大きくため息をつきながら呟いたのは、辰巳の膝の上で立ち上がったたまだ。
「わが家臣ともあろう者が、何という迷惑をかけているのじゃ。全く情けない。此度のことは、ほぼ斎王家の引き起こしたことか。わらわを、簡単に北御所から出したことにもよるのであろうな。では、詫びも兼ねて、後の始末は引き受けよう。北御所より、奉行所に手を回して、下駄屋の者を解き放つ。衆道者など、捕らえられても一向に構わんのだがな。辰巳が困ろう」
確かに、皆しょっ引かれて店が潰れれば、辰巳は働くところがなくなるし、何よりこのままでは、謂われのない噂のせいで、己もいつ捕まるか知れないのだ。
「まぁ・・・・・・俺も、あそこで働くために、そっちの気(け)のあるふりはしたから」
何だかんだと問題のある店でも、宮家の仕事も任されるほどの店なのだ。
腕を磨くにも、そういう店のほうがいい。
「かもなぁ」
のんびりした風弥の受け答えに、辰巳が固まる。
風弥にしてみれば、元々御珠の在処さえ吐かせれば、その後辰巳が捕らえられようと、どうでも良かったのだろう。
「全く・・・・・・」
大きくため息をつきながら呟いたのは、辰巳の膝の上で立ち上がったたまだ。
「わが家臣ともあろう者が、何という迷惑をかけているのじゃ。全く情けない。此度のことは、ほぼ斎王家の引き起こしたことか。わらわを、簡単に北御所から出したことにもよるのであろうな。では、詫びも兼ねて、後の始末は引き受けよう。北御所より、奉行所に手を回して、下駄屋の者を解き放つ。衆道者など、捕らえられても一向に構わんのだがな。辰巳が困ろう」
確かに、皆しょっ引かれて店が潰れれば、辰巳は働くところがなくなるし、何よりこのままでは、謂われのない噂のせいで、己もいつ捕まるか知れないのだ。
「まぁ・・・・・・俺も、あそこで働くために、そっちの気(け)のあるふりはしたから」
何だかんだと問題のある店でも、宮家の仕事も任されるほどの店なのだ。
腕を磨くにも、そういう店のほうがいい。


