わかるけどね、と藍は、膝に置いた与一の頭を撫でた。
殺し一本できた藍も、今回の長丁場には、ほとほとうんざりしていたのだ。
いつものように、迅速に事を済ませてしまえば、同じ稼業の者とぶつかることもなくなる。
今回のように、無用な乱闘をする必要もなくなるわけだ。
---とにかく早く、よいっちゃんの手当をしたいわ---
今この場では、見えている顔と首の、簡単な手当しかできない。
与一の負っている傷が、これだけのわけはないのだ。
切り刻まれた着物は、見た目はわからないが、どこを触っても血がつくし、何より脇腹の傷が気になる。
毒も身体に入っているし、先程までは、かすかに意識があったようだが、おそらく今はもうないだろう。
「じゃあ、あなたはもう、たまのことはいいのね? あたしは六条の宮様より、御珠を取り返して欲しいって頼まれた。今聞いた限りでは、それでお福さんの立場が上がるとも思えないけど。一応依頼主の希望は、聞き届けられる。でも、たまはどう? どうしても、比和の辰巳の傍にいないと、駄目なのかしら?」
たまは辰巳の膝に顎を乗せたまま、少し目を閉じた。
「そうじゃな・・・・・・。比和どうこう以前に、お福よりも辰巳のほうが、わらわの面倒をよく見てくれる。お福はあの通り、家に寄りつかぬし・・・・・・」
「あ!」
いきなり藍が、大声を上げた。
皆、驚いて藍を見る。
殺し一本できた藍も、今回の長丁場には、ほとほとうんざりしていたのだ。
いつものように、迅速に事を済ませてしまえば、同じ稼業の者とぶつかることもなくなる。
今回のように、無用な乱闘をする必要もなくなるわけだ。
---とにかく早く、よいっちゃんの手当をしたいわ---
今この場では、見えている顔と首の、簡単な手当しかできない。
与一の負っている傷が、これだけのわけはないのだ。
切り刻まれた着物は、見た目はわからないが、どこを触っても血がつくし、何より脇腹の傷が気になる。
毒も身体に入っているし、先程までは、かすかに意識があったようだが、おそらく今はもうないだろう。
「じゃあ、あなたはもう、たまのことはいいのね? あたしは六条の宮様より、御珠を取り返して欲しいって頼まれた。今聞いた限りでは、それでお福さんの立場が上がるとも思えないけど。一応依頼主の希望は、聞き届けられる。でも、たまはどう? どうしても、比和の辰巳の傍にいないと、駄目なのかしら?」
たまは辰巳の膝に顎を乗せたまま、少し目を閉じた。
「そうじゃな・・・・・・。比和どうこう以前に、お福よりも辰巳のほうが、わらわの面倒をよく見てくれる。お福はあの通り、家に寄りつかぬし・・・・・・」
「あ!」
いきなり藍が、大声を上げた。
皆、驚いて藍を見る。


