風弥は少し驚いたような顔をしたが、すぐに白い歯を見せて、爽やかに笑った。
「優しいねぇ。やっぱりお前は、いい奴だよ」
「竜胆丸の後釜は、御免だわよ」
ぷい、とそっぽを向いた藍は、ふと思い出したように視線を戻した。
「あなたは、東の守護神から、同じように御珠を捕らえろって、命じられたわけ?」
目的が同じならば、謎が解けただけでは、一件落着とはいかない。
まだお互い、依頼はこなしていないのだ。
が、風弥はまた、軽く肩を竦める。
「そんな大層なおかたからの依頼じゃない。確かに俺らが今、世話になってる旦那は、東のおかた・・・・・・守護神だな、付きだが、お付きというよりは、ただ寺に出入りする、貿易商なだけだ。東の寺は、廃れちゃいるが、一応格式ある寺ってんで、地元民には大事にされてるんだぜ。有力貴族の後ろ盾がないから、経済的には厳しいが」
「経済的に厳しいのに、貿易商が出入りしたって、商売にならないんじゃないの」
藍の疑問に答えたのは、辰巳の膝の上でふてくされていたたまだ。
「風狸は、知識だけは豊富じゃもの。古(いにしえ)より、狸は狐より、人に絡むことが多かった。人に関する知識は、我ら狐の側より豊富じゃろ。商人の好む話も、いろいろ知っておる。貿易商とかいうものがどういうものかは、わらわにはようわからんが、骨董屋なら飛びつきそうな話は、山ほどある。そういう商人は、話を聞くだけでも、価値はあるじゃろう」
「優しいねぇ。やっぱりお前は、いい奴だよ」
「竜胆丸の後釜は、御免だわよ」
ぷい、とそっぽを向いた藍は、ふと思い出したように視線を戻した。
「あなたは、東の守護神から、同じように御珠を捕らえろって、命じられたわけ?」
目的が同じならば、謎が解けただけでは、一件落着とはいかない。
まだお互い、依頼はこなしていないのだ。
が、風弥はまた、軽く肩を竦める。
「そんな大層なおかたからの依頼じゃない。確かに俺らが今、世話になってる旦那は、東のおかた・・・・・・守護神だな、付きだが、お付きというよりは、ただ寺に出入りする、貿易商なだけだ。東の寺は、廃れちゃいるが、一応格式ある寺ってんで、地元民には大事にされてるんだぜ。有力貴族の後ろ盾がないから、経済的には厳しいが」
「経済的に厳しいのに、貿易商が出入りしたって、商売にならないんじゃないの」
藍の疑問に答えたのは、辰巳の膝の上でふてくされていたたまだ。
「風狸は、知識だけは豊富じゃもの。古(いにしえ)より、狸は狐より、人に絡むことが多かった。人に関する知識は、我ら狐の側より豊富じゃろ。商人の好む話も、いろいろ知っておる。貿易商とかいうものがどういうものかは、わらわにはようわからんが、骨董屋なら飛びつきそうな話は、山ほどある。そういう商人は、話を聞くだけでも、価値はあるじゃろう」


