「あたしらに依頼してきたのは、六条の宮様。調べていてわかったんだけど、お福さんの、妹宮だわ」
「お琴かっ! あやつ、何のつもりじゃ」
いきり立つたまを、辰巳が宥める。
藍は少し考えて、一つ息をついた。
「これでわかったわ。御珠は、我が主の願いを聞きし宝なりって言ってた。お福さんの状況を、妹宮も知ってたのね。北御所様からお福さんに下された御珠を奪った辰巳を憎み、御珠さえお福さんに戻れば、北御所様からも、もっと信頼されると思ったんじゃないかしら。とにかく、少しでもお福さんの立場を上げたかったんでしょう。妹宮にとっては、辰巳は姉の幸せの妨げでしかないもの。状況次第で、辰巳を消してもいいって言ってたわ」
「何という、浅はかな娘じゃ。全く、お福といいお琴といい、己の立場というものを、少しもわかっておらぬ」
シャッシャッと牙を剥くたまは、憤懣やるかたないといった感じで、いらいらと辰巳の膝の上をくるくる回る。
「・・・・・・とんだ濡れ衣だ。こちとら、いい迷惑だぜ」
辰巳がぼそりと呟く。
風弥が、伸びをしながら、のんびりと言った。
「なるほどねぇ。これでやっと、すべての謎が解けたわけだ。どうやら、こっちの人員を三人ほど失うほどの仕事では、なかったようだなぁ」
あ、と、藍は風弥を振り返った。
懐から、小さな貝の入れ物を出すと、風弥にぽん、と投げる。
「そういえば、お礼、言ってなかったわね。よいっちゃんを運んでくれて、ありがとう。ついでにあたしのつけた傷の手当、この軟膏あげるから、塗っておきなさい」
「お琴かっ! あやつ、何のつもりじゃ」
いきり立つたまを、辰巳が宥める。
藍は少し考えて、一つ息をついた。
「これでわかったわ。御珠は、我が主の願いを聞きし宝なりって言ってた。お福さんの状況を、妹宮も知ってたのね。北御所様からお福さんに下された御珠を奪った辰巳を憎み、御珠さえお福さんに戻れば、北御所様からも、もっと信頼されると思ったんじゃないかしら。とにかく、少しでもお福さんの立場を上げたかったんでしょう。妹宮にとっては、辰巳は姉の幸せの妨げでしかないもの。状況次第で、辰巳を消してもいいって言ってたわ」
「何という、浅はかな娘じゃ。全く、お福といいお琴といい、己の立場というものを、少しもわかっておらぬ」
シャッシャッと牙を剥くたまは、憤懣やるかたないといった感じで、いらいらと辰巳の膝の上をくるくる回る。
「・・・・・・とんだ濡れ衣だ。こちとら、いい迷惑だぜ」
辰巳がぼそりと呟く。
風弥が、伸びをしながら、のんびりと言った。
「なるほどねぇ。これでやっと、すべての謎が解けたわけだ。どうやら、こっちの人員を三人ほど失うほどの仕事では、なかったようだなぁ」
あ、と、藍は風弥を振り返った。
懐から、小さな貝の入れ物を出すと、風弥にぽん、と投げる。
「そういえば、お礼、言ってなかったわね。よいっちゃんを運んでくれて、ありがとう。ついでにあたしのつけた傷の手当、この軟膏あげるから、塗っておきなさい」


