さて事情も知らず、いきなり仕えるべき主家筋から、下駄屋に嫁すことを命じられたお福は、当然ながら反発した。
が、比和の人間に、一刻も早くたまを預けたい北御所は、そのまま降嫁を実行する。
その上で、準備が整った後、たまをお福を通して、下駄屋に届けたのだ。
「とはいえ、お福はわらわのことを、ただの北御所・・・・・・奴らの言うところの、今の斎王じゃな、の、飼い猫だと思っておるし、守り役であるこの男子(おのこ)にも、わらわの正体を明かすわけにはいかぬ。・・・・・・結果的には、明かしてしもうたが。わらわが下駄屋に赴く折に、使いの者がお福に、わらわの世話をするよう申しつけたはずじゃが、何がどうなったのか、お福は家に寄りつかなくなってしもうた。わらわの世話役として、ここに嫁いだくせに、あれでは斎王失格じゃな」
ふん、と鼻を鳴らすたまに、藍は首を傾げた。
「う~ん・・・・・・。まぁ自分の主家筋から頼まれたことを、ないがしろにするお福さんは、確かになってないけど。でもほら、まだ若い身空で、いきなり自分のおじいさんぐらいの人に嫁がされて、望まれたのならともかく、それどころか夫となった人は、衆道者で自分に見向きもしない。しかも再び主家筋から頼まれた猫まで、自分でなく夫の衆道仲間に懐くなんて、何かお福さんの気持ちも、わからないでもないかも」
そうか? と、たまは藍を見上げる。
あまり、人の気持ちというものは、わからないようだ。
が、比和の人間に、一刻も早くたまを預けたい北御所は、そのまま降嫁を実行する。
その上で、準備が整った後、たまをお福を通して、下駄屋に届けたのだ。
「とはいえ、お福はわらわのことを、ただの北御所・・・・・・奴らの言うところの、今の斎王じゃな、の、飼い猫だと思っておるし、守り役であるこの男子(おのこ)にも、わらわの正体を明かすわけにはいかぬ。・・・・・・結果的には、明かしてしもうたが。わらわが下駄屋に赴く折に、使いの者がお福に、わらわの世話をするよう申しつけたはずじゃが、何がどうなったのか、お福は家に寄りつかなくなってしもうた。わらわの世話役として、ここに嫁いだくせに、あれでは斎王失格じゃな」
ふん、と鼻を鳴らすたまに、藍は首を傾げた。
「う~ん・・・・・・。まぁ自分の主家筋から頼まれたことを、ないがしろにするお福さんは、確かになってないけど。でもほら、まだ若い身空で、いきなり自分のおじいさんぐらいの人に嫁がされて、望まれたのならともかく、それどころか夫となった人は、衆道者で自分に見向きもしない。しかも再び主家筋から頼まれた猫まで、自分でなく夫の衆道仲間に懐くなんて、何かお福さんの気持ちも、わからないでもないかも」
そうか? と、たまは藍を見上げる。
あまり、人の気持ちというものは、わからないようだ。


