次期主神としての修行中だったたまは、東の主神である狸の妖怪・風狸に狙われる。

元々京処の力は、北と南方面が強く、東と西は、さほどでもない。
が、昔から狸と狐は仲が悪いためだか知らないが、東の風狸が、北にちょっかいを出してきたのだ。
といっても、化けの天才である狐と違って、狸は、実は妖力が強いものは、そういない。
強い力を持つ狸というのは、それこそ団三郎狸ぐらいのものなのだ。

とても北御所自身には敵わないため、まだ修行中で、化け猫のたまに狙いをつけた東側の攻撃に、北御所は、しばらくたまを隠すことにした。
その隠れ場所を探しているときに耳に入ったのが、下駄屋である。

調べたところ、職人に比和の人物がいることが判明。
まずそこに、次期斎王のお福を入れることにした。
斎王は主神に仕える者なのだから、たまのために隠れ家に赴くのは、当然のことであった。

だが一応お福は宮家の姫なので、比和の職人に嫁ぐわけにもいかない。
そこで下駄屋の旦那に嫁すことになった。

斎王は本来独身でなければならないが、このところは、そうも言ってられないのが現実だ。
きちんとした斎王の家柄から選ぶと、だんだん少なくなってくるものだし、独身の間だけだと、少ない上に、任期までも短くなってしまう。
ということで、今は一旦結婚した皇女が、子を産んでしばらく経つぐらいまで嫁ぎ先で過ごし、それからずっと、北御所に仕えるという形になっている。